
多くの仮想通貨(暗号資産)はボラティリティが大きく、米ドルや日本円などの法定通貨と比べると、決済などでの実用性で劣るという難点を抱えている。価格の急上昇・急降下で「ギャンブルみたい」と感じる方も多いはず。
ステーブルコインは、仮想通貨の価格の「激しい上下」を避ける仕組みを持つ特別な通貨です。従来のビットコインのように価格が大きく動かないよう設計されており、実用に使いやすくするための「安定した通貨」になります。
種類と代表的なステーブルコイン
ステーブルコインは大きく4タイプに分けられ、それぞれの支え方に特徴があります。
①法定通貨担保型(Fiat-collateralized)
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仕組み:1トークンあたり、実際のドルやユーロなどが銀行等に同額保管されている。
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メリット:最もシンプルかつ安全性が高い。
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代表例:
② 暗号資産担保型(Crypto-collateralized)
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仕組み:ETHなど他の暗号通貨を担保としてロックし、価値安定を図る。
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メリット:分散型かつスマートコントラクトで運用でき、安全性は高め。
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代表例:
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DAI:MakerDAOが発行。担保過剰の設計で価値安定を目指す。
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③ アルゴリズム型(Algorithmic)
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仕組み:トークン供給量を自動で調整することで、1ドルとのペッグを維持する。
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メリット:担保資産が不要でモデルがユニーク。
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リスク:2022年の TerraUSD(UST)崩壊のように、安定性を維持できない危険性がある。
④ 商品担保型(Commodity-backed)
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仕組み:同等の金や銀などの実物資産が裏付け。
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代表例:
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PAX Gold(PAXG):金のトロイオンスに対応するトークン。
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まとめると、以下のようになります。
USDC、USDTに関する過去記事はこちら
ステーブルコインの用途と便利な使い方
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価格安定の避難所として
仮想通貨の変動が激しい時にステーブルコインに一時避難でき、資産価値を安定保全できます。 -
送金・決済に最適
送金が速く手数料も小さいので、国際送金や日常の支払いなどに便利。 -
DeFi(分散型金融)との相性が良い
借りたり貸したり、利回りを狙った運用(イールドファーミング)に使われることが多いです。 -
グローバルなアクセス手段
銀行口座がない人でもスマホ一つで金融アクセスが可能。
利用時に気を付けたいリスク
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発行体への信頼性
USDT は準備金の透明性に疑問が投げかけられた過去があります。完全な監査は実施されていません。 -
規制対応
2025年米国では GENIUS法が成立し、1:1の裏付けと監査報告が義務化されるなど、法整備が進んでいます。 -
アルゴリズム型の脆さ
Terraの例に見るように、モデルの前提が崩れると急激に崩壊します。安定とは限らないことを理解しておく必要あり。 -
AML/マネロンリスク
匿名性が高いため、不正資金の移動にも使われやすく、当局の監視対象になっています。
なぜステーブルコインが重要?
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グローバルな金融インフラの可能性:国や銀行に縛られない、新しい金融システムへの扉を開きます。
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金融市場への影響も出始めている:たとえばTetherの米国債への大量投資は、短期金利にも影響を及ぼしている調査結果もあります。
まとめ
ステーブルコインは、「仮想通貨なのに価値が安定している」という利点を持ち、DeFi・送金・資産保全など、様々な場面で欠かせない存在です。
それぞれのタイプには特徴とリスクがあるため、安全性重視ならUSDC、実績重視ならUSDT、分散タイプならDAIといった使い分けも可能です。